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釣り人よりクロダイのほうが多い! ワイルドでサイレントなこの世の楽園。
広島駅から山陽本線で約40分。途中、宮島口の駅までは外国人観光客でギュウギュウになっていた列車も、玖波駅を降りる頃には自分のほかにはおじいちゃん一人、というウルトラローカルなここ玖波の駅に降り立つと、自分が今いつの時代のどこの国にいるのかすらわからなくなるくらいの旅情に駆り立てられる。というとオーバーかもしれないけどね。とにかく人がいないんだよ…。
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昭和の香り漂る跨線橋。鉄道模型の駅素材で昔見かけたような風情である。昭和そのものの駅舎に、背景は限りなく山と、青空である。
玖波漁港は駅から歩いて5分の駅前漁港だ。そしてここも山と、青い空と海と、白い雲。どこへ行っても基本的にこの3色なのである。
港内は長い堤防が3本あるんだが、一番右側の、一番沖側の堤防は一応立入禁止になっているようだね。
お薦めは真ん中の堤防。ここはトウフ状に広くなってる上になんと常夜灯までついている。ああ、それにしても誰もいない。
水中チェック!
トウフ型堤防の、常夜灯付近から機動水中カメラ「トビウオ11号くん」の潜水調査・・・となんだ!! 堤防のまわりは大きなクロダイだらけだ! すごいなここ!
王者の風格だねえ。目視だけでこのクラスを5~6匹確認できる。どれも40cm以上はある。こんなのがウヨウヨいるから、嬉しさを通り越して何か怖くなってきたぞ!
海底まで驚くことにわずか4メートルちょっとしかない。この浅場でこのサイズなんだよ。そしてその海底にはなんとこれ、イシダイじゃないか!? 隣のウミタナゴとの大きさの違いを見てやってほしいぞ。
海底は漁港内とは思えない、岩場と砂地というワイルドな世界だ。そして魚種も多い。海底にはメバルがいっぱいだ。
珍しいのもいる。これはニシキハゼだな。これにしても20cm以上のデカさだ。そしてその向こうにはまるでひょっこりはんとこちらをうかがうクロダイ。ぜんぜん逃げないんだよみんな。
機動水中カメラ「トビウオ11号くん」にゴンゴンクロダイがぶつかってくる。こんなところは見たことない。何か、もっと大きな魚類が入ってきそうな気がして、身震いしちゃったよ。
動画チェック!
熱いぜベイビー
釣り魚チェック!
っていうようなスーパーヘビー級の海中を見ておきながら、釣果としてはこのメバルっちと・・・
ウミタナゴっちばかりなり。
「オレじゃなくて、もっと釣らないとうけないやつがいるだろうよ」という挑戦的な眼差しである。
わしじゃなかろうが! もっと他に狙うやつがおろうが! と、広島弁で窘めていそうな表情のウミタナゴであった。
駐車場チェック
専用の駐車場は用意されていないみたいだけど、港内で牡蠣を直売していて、この周辺に、黙認の形でレジャー目的の車が停められているようだね。
マナーを守ってすてきな釣り時間を、ということですな。牡蠣買って帰ろうかな。
トイレチェック! トイレなし
あいたたたたこれが一番困ったね。近辺にはコンビニというものも無し。玖波の駅のトイレしかないんですわ。
ひとこと! 玖波漁港
この広大な、そして人っ子ひとりくらいしかいない漁港。ここに生息する魚たちはその種類・量・大きさが、東京の物差しはまったく役に立たないような圧倒的な迫力・そして畏怖を伴って迫ってくる。たまに知らない土地に来ると、やわな予定調和の中で生きている自身に電気ショックが加えられるようで新鮮で楽しい。そんな気持ちにさせてくれるワイルドな釣り場である。
牡蠣工場でホタテもやっているようで、港内に大量にホタテ殻が積まれていた。フォトジェニックな時間である。
玖波駅から玖波漁港に向かう途中に一件だけ釣具店がある。福原釣具店。一瞥すると釣具店なのか、園芸用品店なのか見分けが難しいが、気さくな女将さんが切り盛りする、漁港に負けないくらいワイルドな釣具店。一見狭そうな(実際、狭いんだけど)店内にはしかし、所狭しと膨大な釣具、釣り餌が用意されており、またこの土地独特の仕掛けなどもある。十分頼りになる釣具店。現地に来たときはぜひ頼ってほしいね。
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